昨日見た光景を忘れることができない。
目を閉じると蘇る、あの緊張と恐怖。
あれはおそらく、とんでもなくデカいマルスズキ…
あの瞬間が脳内でリプレイされ、その度にデカいマルだった…と思うが、しかし正体はわからない。
時刻は19時を回った。
身体が重い。
今日はもう竿も身体も休めようと思っていた。
しかし心に灯った炎(ほむら)が、それをさせない。
身体と心の状態が相反し、何度も葛藤を繰り返す。
いっそ昨日見たものが心で霧散して欲しいとも思ったが…
ヤツは、間違いなくあの場所で待っている。
行かねば…
もちろん昨日の敗北を取り返すだけの秘策も何もない。
だが逡巡する時間もない。
今の自分にできることはフィールドに立ってルアーを投げること。
01:00 城門に到着
深夜の単独釣行。不慣れなため、安全面には十分配慮しなければならない。
下げ止まりからのスタート。
昨日河川だと思っていたのは、思いっきり水道であったことに気付く。
今後ナイトゲームをメインに通いこむことになるので、この場所に何か名前をつけたい。
何にしようか。
始まりの地?(自分のナイトシーバスゲームが)
寺子屋?(ナイトシーバス学問施設)
化け物の家?
あまりふざけると、厳かに始めたオープニングが台無しになることに加え、ヤツへの無礼にあたるので、ヤツを名もなき王と呼称し、この場所を名もなき王の城と呼ぶことにしよう。
寒すぎず、かといって暑くもない春を感じる夜風に吹かれ、
煌々と輝く漁火と満点の星空に囲まれて実釣開始。
まず最初に投げたルアーは空海スリム140F どチャート
広い範囲を撃って探ってみる。
現在、潮止まり。ルアーを引いても手元に感じる変化は乏しい。
しかしこの場所はひとたび潮が動き出せば、あっという間に激流になるだろう狭小水道。
ここにベイトが絡めばヤツは必ず姿を現すはず。
不気味なほどの静けさ。
わかってる。
お前はそこに居る。そこに居るんだろ
今の俺とお前が釣り合わないことは重々承知…だがワンパンチ…一矢報いたい…
いざ勝負。
02:00 静々と潮が動き出す
ルアーの引き抵抗に明確な変化が。
潮が動き出した。
下げ止まりからの上げ出し、魚の食い気が立つ絶好のチャンスタイム。
この間にルアーローテーションを頻繁に行い、最適解に近づく作戦。
空海スリム140F、ブローウィン140s、ブローウィン140J(ジャーキング)、サスケ120剛力、スカーナッシュ120F(ジャーキング)、ショアラインシャイナー セットアッパー120、レヴィンミニ80、ブローウィン80F、ジョルティ35g、レンジバイブ、そしてウェイキーブー…
少ない引き出しを開けては閉め、考えて考えて、答えに近づけない苦しみが脳内で横溢する。
時刻は03:30を回る。
満潮から3時間後である4時半頃に、流速が最強速になるはず。
ここで一旦休憩を挟むことに。ローソンのメロンパンで補給。
余談だが、各コンビニのメロンパンを食べあさった結果、ローソンのメロンパンが一番美味しいという結論に至った。
休憩後も諦めず投げとおしたが、結局何も起こらなかった。
05:30 東雲(しののめ)を眺め、ショアジギングに切り替える
潮は間違いなく効いている。
もしこの場所で魚が活発になる条件があるとすれば、今のところ足らないのはベイトのみだと思われる。
迷走気味の心を落ち着かせるために、最近ハマっているヤクルト1000を補給ののち瞑想する。
megabassのマキノタネをセットし、ボトム着底後、ただ巻きで誘いを入れてみる。
君か。
しかし心がスッと軽くなったよ。
ボトム着底の度に猛襲。
キャスト、着底、ヒット。
7連続。申し訳ないが、ちょっとうざくなってきた。
満潮から下げ出しを撃ったところで、納竿。最終日はアラカブの猛攻で幕引きとなった。
帰り道を歩いていると、たまたま会った漁師さんと世間話に。
昨日の夜、大きな魚のボイルを見たので、どうかなと思って。
お邪魔しました。
親切なお父さんと釣り談義が盛り上がり、20分ほど立ち話をしてしまった。
家族はおると?
牡蠣食べる?
そういって大量の牡蠣を頂いた。本当にこの島の人々は温かい。
とにかく時期とタイミングを見計らって、このポイントには通い込もう。
帰り際に再度フィールドをも見返すと、自分の立っていた場所から水道の向こう側、つまり流れの緩いところで30cmほどのボラが跳ねていた。
ボラがいるということは、シーバスもいるはず。
『ヤツが自分を待っている』と、
『会いに行く責任を担っている』と、
そのように設定すると
自分は『この場所に立つ』ということを降りられない。
もう少し自分に知識と技術が備われば…
または自分よりもナイトゲームの知見を有する者達(といってもswitchくらいしか知らない)の知恵を借りる
あるいは彼をこの地に召喚すれば、
名もなき王と対面できる、その日がやってくるかもしれない。
しかしこの釣行で、サスケ烈波が欲しくなった…
完全に彼にインスパイアされている…
◆ ロッド:Yamaga Blanks Early 104
◆ リール:Twin Power XD 4000XG
◆ ライン:DAIWA morethan DURASENSOR 8BRAID 1.5号
◆ リーダー:SUNLINE SYSTEM SHOCKLEADER ナイロン 30lb
読了、ありがとうございました!
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